吉敷地域の防災

周防大島町防災研修に参加して

2016/4/12

 平成28年3月11日に吉敷地区防災検討委員会の事業である先進地視察として周防大島町防災研修が行われました。私は防災広報委員としてこの研修に参加いたしました。この講習会では,周防大島町の小積自主防災会会長,小積自治会,小積消防団長,周防大島町の防災担当職員の方合計4名の方々からご説明を受けました。
 講習の対象となる小積地区は,周防大島東部の瀬戸内海に面した場所に位置しています。海岸線に県道60号線がとおり,集落の背後には白木山が迫っている地形となっています。そのために,高潮や津波の被害が予想され,その場合には県道60号線は通行止めになることが予想されます。実際に,背後の山からの土砂災害により4年前と40年前の二度にわたり県道が通行止めとなった経緯があります。
 以上の自然状況下の小積地区には,44戸の住居があり,66名の方が居住されています。無題1
 高齢化率が70%以上となっていますが,住民の間で近所付き合いは密接で,安否確認は容易ということでした。この地区で予想される主要な災害は高潮と洪水ということなので,そのときに避難する場所として行政側から指定されている所は小積公民館となっているそうです。ここは海抜3.7メートルということですけれども海岸線に近く,実質的には海抜ゼロメートルと考えたほうがよく,避難場所としては不適当であると考えられています。高台にある避難場所として二尊院というお寺があるのですが,そこまでの道のりが急峻で,高齢者が徒歩で緊急に避難することは困難です。そこで,公民館よりも高台となる海抜20メートルの地点に更地の広場を住民の力で造成し,一次避難場所として使うことを考えているそうです。その次の二次避難所としては空家を充てることに考えられています。一次避難場所には,借用しているコンテナを防災倉庫として活用しているそうです。コンテナ内には発電機,テント2張り,テーブルとして使用するコンパネなどを収納しています。今後は浄水器の導入を予定しているそうです。防災用食品は賞味期限があり,絶えず補充する必要があるために,あえて備蓄はしない方針ということでした。
 この地区には消防団の組織が強固で,これを中心に防災組織が形成されています。住民は3つの班に編成され,自主防災会の副会長の指揮の下に避難活動をすることになります。しかし,実際には,自主防災会会長の指揮下に,隊長以下3名の隊員並びに消防団員によってフォロー隊が結成され,この活動的な隊が住民の各班の避難活動を積極的に助けるという体制をつくっています。
 この地区は,土砂災害が多く,大雨が降ったときには必ず見回りをしているそうです。また,避難訓練は毎年お祭りのときに実施しているようです。近年でも,平成24年,25年,26年,27年と,避難訓練,高台避難訓練,避難困難者救助訓練,救急救命法(AED取扱),炊き出し訓練など毎年訓練内容を変更しながら実施しているそうです。また,周防大島町には,釣り客が多く訪れるので,釣り客にも呼びかけて避難訓練を実施しているということでした。
 講師に対して数多くの質問がありました。そのすべてを記録できていないことは申し訳ないのですが,一つだけ私が聞きたかったことをどなたかが質問して下さいました。それは,昼間外に働いている人をどのように防災会に組み込んでおられるのかということです。小積防災会のそれに対する回答は,外部に働きに出ている人は防災会の組織に入れていないということでした。残念ながらこの方法では吉敷地区の防災会を組織することは困難です。吉敷地区では現役世代がかなりの割合となっています。この方々の助けを借りなければ吉敷地区の防災活動は不十分となります。特に,夜間の災害に対しては,定年後の年代の者だけでは避難をするのが困難です。一方で,現役世代は多忙な毎日を送られていますので,防災会の組織に入っていただくのも申し訳ないと思います。このあたりをどのように折り合いをつけていくかという点が問題です。小積地区の児童・生徒の絶対数は非常に少なく(数人ではなかったでしょうか),学校との連携で児童・生徒への対応は問題なかったようでした。
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 今回この報告書をまとめるときに,周防大島町のホームページを調べてみました。すると,トップページの一番目立つ場所に消防・防災情報が掲げられていました。また,ハザードマップは,各居住地区の住民が簡単にpdfをダウンロードできるようにしてあり,災害時に各自がどの道を通って避難するのか経路を書き込むように指示がされていました。防災倉庫の場所についても,地図上にその位置が分かりやすく示されていました。このように,周防大島町全体で,防災対策が十分に行われていることが伺えるホームページでした。吉敷地区でも,このようなきめ細かな防災指針となるホームページが必要ではないかとかんじました。
 以下は講演終了後に大島防災センター内での見学会の写真です。この防災センターは,災害時には周防大島町民の避難所として使用できるように作られています。この点も心強いと感じました。     防災広報委員 右田耕人

センター内見学風景
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